その車が一台、そこにあるだけで。 ~二代目のフィアット500~

2021年2月24日
カーメモリー

前回の第二弾は、空気を切り裂くデザイン、アルファロメオ164Neroでした。

心に刻まれた車の第三弾は、ルパンも乗っていた、古いフィアット500です。

この古いフィアット500。初めは、初代だとばかり思っていて、現行とは違うという意味でオールドミニのようにオールド500とでも呼ぶのかな?と思っていたら、なんと二代目。初代の500と区別するためにNUOVA 500と呼ばれているようです。フィアットの公式サイトにもヌォーヴァと表記されています。

NUOVAはイタリア語で新しいという意味で、英語ならNEW。ちょっとだけ似ています。ちなみに、スペイン語ならNUEVA。もっと似ています。当然ですか。。。

NUOVA 500。NUOVA YORK(ニューヨーク)と同じく、女性名詞ですね。

まあとにかくこの二代目の500。これまで映像でしか見たことがありませんでした。いつものごとくカーグラフィックTVのメモワールでしか。かわいいなあとは思いましたし、いいなあとも思いましたが、そのメモアールでも維持が大変でしょうというようなコメントもあったぐらいですから、さすがに乗りたいと思ったことはありません。完全にクラシックカーの領域ですし、そこら辺に売っているというものでもないでしょうし。

そのクラシックカーが、平日の夕方に帰宅ラッシュの普通の国道を普通に走っているとは、思ってもいませんでした。

先日、ビートで国道を走っていました。すると、どこからともなく乾いた音が聞こえてきます。

ビートルと似ているけれども、ちょっと違う音。

バラバラバラバラッという乾いたエンジン音ですが、ビートルとは間隔が違う。

「バ」と「ラ」の間、「ラ」と次の「バ」の間。この間隔がちょっと狭いというか短い。ビートルよりも。

どこにいるのかと思って回りを見ても、ファミリーカーとか、お仕事カーとか、そんな車しか見えません。

しばらく走っていて、ふっと左を見ると、白でもない、ちょっとだけグレーっぽい色合いのちっちゃい車が、バラバラと音を立てて走っています。そのずんぐりむっくりした小ささからすぐわかりました。

そこに居たのか、古い500。

窓全開、といっても小さい窓ですが、全開にして走っています。当然ながら左ハンドルで、曲げられた左の肘が小さい窓からちょこっと出ていたりします。カッコイイ。

ビートの横にちょっとだけ並びました。

ここはご挨拶です。ギヤを二速のまま引っ張ります。ビートは遅いので、二速で引っ張ってもスピードは出ません。前の車との間にちょっとした距離があれば、二速で引っ張ることができます。

二速で引っ張った後、いつものように、ちょっとゆっくりめのダブルクラッチを使います。ニュートラルでアクセルを強く踏み込んで回転数をボワンと上げてから三速に入れます。

このご挨拶に気が付いてくれたのか、ビートを見て反応してくれたのか、その古い500は、しゅっと右側に車線変更してビートのすぐ後に並びます。

オオー、なんちゅうちっちゃい、なんちゅう細い車なんやあ。

私のビートがすごく立派に感じます。それに、バックミラーに映ったその500のボンネットには、ハの字というかV字というか、太っといラインみたいな模様が入っていました。何か特別な意味を持つ模様なのでしょうか。

ビートとその500は、そのままほんの少しの間だけ縦に並んで走りましたが、信号でその500は右折ラインに入ってしまいました。ザンネン。単に右折したかっただけみたいです。

その小ささが魅力の古い500ですが、ここで改めてビートとサイズ感を比較してみます。

古い500のディメンジョンは、全長2970mm、全幅1320mm、全高1325mm、ホイールベースが1840mmで、車重は470kgです。駆動方式はRR。

一方、ビートは、全長3295mm(+325mm)、全幅1395mm(+75mm)、全高1175mm(-150mm)、ホイールベースが2280mm(+440mm)、車重は760kg(+290kg)です。括弧内の数字は、古い500との比較値です。駆動方式はMR。

ビートの方が全長、全幅ともにかなり大きい。ホイールベースもかなり違っています。ビートはMR、古い500はRRと、駆動方式が違っていることも影響していると思います。全高だけはビートの方が低いです。古い500では、頭が天井にあたってしまうのでキャンバストップにしたとも言われていますが、でも、全高はビートの方がもっと低い。二人乗りと四人乗りという違いもあるでしょうか。寸法で特徴的なのは、全幅と全高がほとんど同じ、たったの5mmしか違わないということでしょう。つまり、真正面から見ると、縦横同じ寸法ということです。それもあって、コロンと見えるんでしょうねえ。パワーはたったの15ps。それでも面白そう。一回、運転してみたいですねー。空冷なので、これからの暖かい時期は厳しいでしょう。冬だからこそ出会えたのかもしれません。ラッキーです。

ちなみに、現行の三代目500は、全長3570mm(+600mm)、全幅1625mm(+305mm)、全高1515mm(+190mm)、ホイールベースが2300mm(+460mm)、車重は1030kg(+560kg)です。括弧内の数字は、古い500との比較値です。駆動方式はFF。二代目に比べるとかなり大きく立派です。ビートと比べても、ずいぶん大きいです。また、全高に比べて全幅の方が大きくなっていて、二代目500に比べると、コロンと感は、ちょっと弱まっています。車重は1トンちょっとと軽いとは言え、二代目の二倍以上もあります。時代ですね。

ビートは、国道を走っていると今時のミニバンの陰にすぐに隠れてしまいますが、この古い、いやいや、ヌォーヴァ500は、回りの車の中に完全に隠れてしまいます。でも。隠れてしまってその存在は全く見えなくても、短い間隔のバラバラ音でその存在感はバツグンです。