前回の第四弾は、まるで映画の一場面を見ているような、そんな老夫婦が操る初代ビートルでした。
心に刻まれた車の第五弾は、クリーム色のカエル君です。
ある朝、いつもの幹線道路をアルファロメオ145で走っていると、いつの間にか、自分の前に細くて小さな車が一台走っていました。
色はクリーム色。それに対して、幌の色は「えんじ」。なかなかいい組み合わせじゃあないですか。それに、いかにもビニールというリアウインドウが、後から見ると、ふにゃふにゃして見えます。幌をつけていましたから、残念ながら内装の様子は見えません。
後から見て右ハンドルだとわかったので、右ハンドルのブリティッシュオープンと言えばMGぐらいしか思い浮かばなかったのですが、どうもちょっと違うような。前に行って確認したいところですが、交通量の多い幹線道路です。自分の思うようにはいきません。
その車のリアには、右側に給油口があって、左側には何かシュッと斜めに伸びたマークが見えますが、何と書いてあるかはわかりません。でも、そのシュッと伸びたマークの感じがとても印象的で、縦に伸びた左右のテールランプとともに、とてもキュートなお尻を演出しています。
その車は一度左に車線変更しましたが、そのときにはちゃんと指示灯がテールランプの下側で赤くピカピカと光っていました。おおー、指示灯もあるやんか。その車のことを全然知りませんから、一つ一つが新鮮です。
前を見たいなあと思っていたら、145が走る右車線の方が前になって、中央車線を走るその車の方がちょっと後になりました。その瞬間、ミラー越しに、特徴的な、飛び出した目ん玉を発見することができました。
カエル君のような目。これはネットで見たことがあるぞー。なんという車やったかな?トライアンフっていう車やったかなあ?と、あまり古い車のことは知りませんから、頭の中でいろいろと思い出そうとしますが、わかりません。実物も見たことないですし。
そのうち、カエル君は、すばしっこく左車線へと飛び跳ねていって、いつの間にかどこかに去って行きました。
このお尻が細くてキュートなカエル君。家に帰って調べて見ると、その名は、オースチン・ヒーレー・スプライト・Mark1というらしいです。
はい。ぜんぜん知りませんでした。覚えていたのは、ヘッドライトの形状だけ。。。
後から見ていた印象は、とてもお尻が細いという印象でした。以前、フィアットの古い500でもサイズ感の比較をしましたが、今回もビートとサイズ感の比較をしてみます。私にとっての小さい車の基準はビートになりますので。
まず、ビートのディメンジョンから。全長3295mm、全幅1395mm、全高1175mm、ホイールベースが2280mm、車重は760kgです。駆動方式はMR。
一方、オースチンのディメンジョンは、全長3490mm(+195mm)、全幅1350mm(-45mm)、全高1260mm(+85mm)、ホイールベースが2030mm(-250mm)で、車重は602kg(-158kg)です。駆動方式はFR。括弧内の数字は、ビートとの比較値です。
ビートよりも全長はかなり長いですが、幅は狭い。かなり細い車ということができます。全高はビートよりもありますが、それでもとても低いという印象でした。特徴的なのはホイールベースの短さです。ネット上では、マーク1は、キュッキュ、キュッキュ、と走ると書かれていたりしますが、それはハンドリングもあるでしょうが、このホイールベースの短さもかなり影響していると推測します。一般的にスポーツカーのホイールベースは2300mmと言われています。例えば、ロータスのエリーゼのホイールベースは、きっちり2300mmです。これは、おそらく、初めにホイールベースを2300mmに設定したと、私は思っています。
それに比べて、このオースチンのホイールベースは2030mmととても短い。このホイールベースの短さが、良く曲がることの大きな要因ではないでしょうか。ただし、ホイールベースが短いので、上下振動、ピッチングは結構あるでしょうけど。
車重はビートよりも軽いです。600kg程度しかありませんから、これも軽快さの大きな要因でしょう。
実際、後に付いて走っていたときには、いつの間にか車線変更して、私の視界から消え去っていましたから。
ついでに、エンジンの比較もしてみます。
オースチンのエンジンは、4気筒で948cc。1気筒あたりの排気量は237cc。エンジンは、ミニと同じらしいです。どうりで、真後ろに付いたときに、どこかで聞いたことのある音やなあと思ったわけです。
オースチンのパワーとトルクは、それぞれ42.5ps(5200rpm)、7.18kgm(3300rpm)。
一方、ビートのエンジンは3気筒で656cc。1気筒あたりの排気量は219cc。およそ1気筒分、オースチンよりも小さい感じです。ビートのパワーとトルクは、それぞれ公称値では、64ps(8100rpm)、6.1kgm(7000rpm)。
パワーウエイトレシオを計算してみると、オースチンは14.2。一方、ビートは公称値では11.9となり、ビートの方が上で、数字上は、ビートの方が速いということになります。
しかし、RSマッハさんによれば、ビートのパワーはあくまでも公称値で、一般的には多くのビートは実測で55psぐらいしか出ていないらしいので、その値で計算し直すと、13.8となり、オースチンとほとんど変わらなくなります。
さらに、ビートのピークパワーは8100回転で発生するし、何と言ってもトルクはオースチンの方が大きく、3300rpmという低い回転数で発生するので、特に、交通量のある一般道で走っている分には、オースチンの方がすばしっこく、キビキビと走れると思います。
目がとてもキュートと言われるカエル君。
実は、お尻もとってもキュートです。
ぴょん、ぴょんと、今日もどこかの道を飛び跳ねているでしょうか。
今度は是非、幌を上げて、オープンにして、内装も見せてください。