その車が一台、そこにあるだけで。~ご老人の初代NSX~

2022年1月18日
カーメモリー

先日、いつものように片側二車線の幹線道路を走っていると、左車線の前方の遠くの方に、地面に貼り付くように走っている一台の車が見えました。

「この低さは普通と、ちゃう」

最近の車は、SUVや箱形の車ばっかり。車の上へのボリューム感は、最近、二階建て、三階建てと、どんどん上がってきています。それに比べてその車は、それらの背高のっぽ群生の中で、一際目立っていました。

その車は後方から見るとそれほど大きな車のようには見えませんでした。これはまたもや、イギリスかどこかの古い車か。近づいて車種を確認せんと。
そう思って右車線から近づいていきました。

すると、だんだんと特徴のあるテールランプの形状が浮き上がってきました。

遠くからはテールランプの形状なんかはあまりわからず、黒い横長のリアという感じしかわからなかったのですが、近づいてみると、横に一直線状に伸びつつも両端がぐいっと跳ね上がった、黒くマットオフされたテールランプがだんだんと見えてきました。

これはホンダ系の車だと初めにわかり、その後、それが初代NSXだとわかりました。

このNSX。車幅は1810mmだそうです。当時はとても幅広の寸法でしたが、今や、普通のファミリーカーでも1800mm程度のものはいっぱいあります。でも、NSXのような低い車はまずありません。それぐらい車が上に、横に、膨張してきたということです。

NSXのリアのナンバープレートを見ると、「○○33」です。いやはや、33ナンバーのNSXさんがこんなところに居られるとは。

そう思うとうれしくなって、今度はどんな人が運転しているのかと、とても気になりました。

そのNSXは左車線を比較的ゆっくりと走行しています。その速度に合わせるようにして右車線を145で走っていると、後から来たボリューム感満載の車が、止まりもせんのに、後にペタッと貼り付いてきます。

「テールランプに貼り付くんやのうて、地面に貼り付けよ!」

と、言いたいところですが、言ってもわからん人に言うても、仕方ありません。

ちらっとバックミラーで後方の車の存在を確認するものの、そんなことよりもNSXのドライバーです。

NSXの真横に並ぶことができたので、ちらっと左を見ると、なんと、そこには白髪のご老人が座って居るではないですか。

「ははは-。これはすごい」

初代NSXは今から約30年前の車。仮にこのご老人が70歳だとして、40歳ぐらいから乗り続けているのかあ?
なんて思いながら、右側を少しの間ですが併走させてもらいました。

NSXは、後に貼り付いて離れもしないSUVに比べて、なんと上品な佇まいなんでしょう。

ただ一つ、ちょっと気になることがありました。
併走したその二車線はゆるーいカーブなのに、そのNSXはイエローラインの近くを走っていて、しかも、ちょっと左右に振れているような、そんな感じの走りでした。

少し心配です。あまり無理されずに、そして、このNSXを大事にされてください。

ご老人が操る初代NSXのような車に遭遇すると、べったりと貼り付く下品な車がいても、心が笑顔になり、軽くなります。そして、今日一日が、とてもラッキーな日のように思えてきます。