昨年末、145が車検を通って帰ってきました。
今回の車検は、本当にピンチでした。大ピンチ。
何がピンチだったかというと、メジャーな内容ではありますが、ヘッドライトです。
145最大のウイークポイント、それはずばり、ヘッドライト。
今回、改めてそう認識させられました。それぐらいの大ピンチでした。
145の不具合の種類はいろいろとありますし、あると思います。私は、おそらく他の人が経験していないような故障も経験しましたが、それでも私が経験していないような種類の故障、不具合もいっぱいあると思います。そのようないろんな種類の不具合の中でも、ヘッドライトの問題は車検に直結しますから、その車を維持できるかどうかという点で非常にシビアな問題です。
今回の車検は、私の手元に来てからは8年目(4回目)の車検です。実は、ヘッドライトについては以前にもピンチがありました。というか、私の手元に来てからずっとかもしれません。その度になんとか対処してきた、対処してもらってきたのですが、今回、またまたそのヘッドライトに問題が出て、いつものショップから「車検がどうしても通りません」と連絡が入りました。
車検が通らないと145を乗り続けることはできません。乗り続けることが物理的に不可能になります。車検が通らない、それはイコール、145を手放すということを意味します。
これまで車検の度に、車検が通る状態であっても145をもうこの辺で手放そう、145に乗るのはもう止めようと、実は何度も思っていました。
前回の車検の前も悩みました。「もうさすがに、ええんとちゃうか?」と。
いろんな不具合の中でも、走り以外のところであれば気にしないようにしています。というか、気にならなくなりました。
内装とか、ちょっとしたところの内装パーツかボロボロ、ボロボロボロと、砕け散り、崩れ落ちても。
ドアがキイキイ悲鳴を上げたとしても。
そんなことは些細なこと、そんなことはどうでもいい。走ればいい。それでいい。
145に乗るようになって、車については心がとても大きくなったような気がします。細かいことを気にしているようでは145には乗れません。
でも、走りに関するところはまた別で、走りに関する不具合は起きて欲しくはないのですが、それでもやっぱり発生してしまいます。
ちょっとした?、いや、ちょっとしたレベルではないような気もしますが、そんな不具合はやっぱりあって、あり続けていて、それでもなんとか乗れるからと、これまでも乗っていました。だましだましではありますが。
本当は、だましだましではなくてきちんと直してビシッと乗りたいのですが、もうかなり前、購入段階から部品はないし、中古部品を探してもその部品もまともかどうかもわからないしという状況。そんな状況ですから、まあ走れば、という感じで乗っていました。
普通のドライバ、普通のMTは乗れるという人ではまず乗れないだろう、というような状態でも、オーナーはその不具合を知っているから乗れる。
おそらくちょっと古いアルファとかを乗っておられる人の多くはそんな感じじゃないかと思います。私もそんな感じで乗っていました。
車検を通す、通る状態ならですが、車検を通すということはあと2年乗るということです。
だから、車検が近づく毎に、「もうええやろ。もう、車検を通さんでも、ええやろう?」と、そんな自問自答を繰り返してきました。
前回の車検のときもどうしようかと悩み、正直手放すことも考えたのですが、まあ、もうあと2年だけ乗ろうかと、そう思って車検を通しました。前回の車検はちょっとした?ピンチはありましたが、なんとかショップの人の力で通してもらうことができました。私は特にあれこれ手配することはありませんでしたから、比較的楽に通った車検、という感じでした。
ところが、今回の車検。
今回の車検は、前回の車検のときとは逆で、私自身は車検を通す、つまり乗り続けるということに対して全く悩むことがありませんでした。車検前の心境は、ようやくというか、なんというか、この145に対して愛着が出てきたという状態でした。
えー?と思うかもしれません。これまで愛着なく乗ってきたのか?と、思うかもしれません。回りの人にこのことを言っても、「えー?」と不思議がられます。でも、愛着がなかったという訳ではないのですが、なんというか、ここんところになってようやく、この今乗っている145が手足のようにちょっとだけ思えるようになってきて、そんな感じがしていました。そういう意味での愛着です。
相変わらず不具合があって、とても乗りにくかったりするのですが、それでもこの速くもなく、シフトもグニャグニャで、内装もよれよれのよれよれで、でも、それでもこの145という車は楽しくて、エンジンはすばらしくて、脚も弱いけれども独特で。
そんな145にようやく自分自身がなじんできた、そんな感じでしょうか。
だから今回の車検はこれまでと違って、当然のように通すものと、そう思っていました。そこに突然の「車検が通りません」との連絡。
正直、参りました。
今回は通したいんや。なんとしてでも通したい。でも、ヘッドライトがない。
以前にも中古部品を探しましたが、そのときはまだなんとかありました。壊れた中古部品しかなかったですが、それでもまだなんとかありました。でも、そこから既に数年という月日が経っており、今ではほんと、ありません。正直、お手上げでした。ヘッドライトがないと、車検を通すことができません。
残された手段は、よくテレビで見るような、旧車に乗っている人が部品取りの車を別に所有しているという、あんな感じしかありません。
「部品取りの車を一台買うか?」と、そう真剣に考えて探したりもしました。
でも、もし部品取りの車を一台買ったとして、その車はどこに置く?
置き場所を仮に何とか確保したとしても、そこから部品を外したりするのは自分。そんなことできる?
仮に仮にそれもやったとしても、部品取りの車はどんどん車ではなくなっていく。そんな姿を見るのもちょっと、つらい。
それやったらいっそのこと、部品取りの車としてではなくて、その部品取りの車に乗り換えるとか、別の145に乗り換えるとか、その方がいいんとちゃうか?
いやいや、他の145じゃなく、やっぱりこの145に乗りたい。他の145の方が程度が良かったとしても、自分は、この145がいい、この145に乗りたい。
そんな感じでした。
やっぱりこの145をなんとか車検に通る状態にしたい。
そう思って、その後も、どうしたものかと冷静になっていろいろと思案した結果、ショップの人に連絡をして、予備というか、以前交換したときのヘッドライトがあるから、今着いているヘッドライトと合わせてこの二つのヘッドライトで、なんとかニコイチという感じで修理してもらえませんか?と、無理なお願いをしました。
ショップの人もそれしか方法がないなあと、とても忙しい中なのに、「なんとかやってみます」とそれに応じてくれました。
急いで年末の物流の大変な時期に、置いてあったヘッドライトを厳重に、慎重に梱包して、宅急便でショップに送りました。
あっと、ここで一つ余談です。
ヘッドライトを段ボールに入れて送るときは、レンズ側ではなくて、レンズと反対側の方を特に注意しないといけないそうです。宅急便の人に言われました。レンズはまず大丈夫らしいのですが、意外とその逆の取り付け側の部分が破損しやすいらしくて、その取付部分を丁寧に緩衝材で包むなりする必要があるとのこと。
発送から暫くして、ショップから「車検がなんとか通りました」と連絡が入りました。
その連絡をもらったときは本当にうれしくて、「帰ってくる、あのアルファが帰ってくる」と、そうしみじみ思いました。
車としては全くたいしたことのない車です、145という車は。同じ時期、同じようなコンポーネンツを使ったFFでも、916のGTVのようなクーペではないし、916スパイダーのようなオープンでもない。ピニンファリーナのデザインもないし、奢られた足回りも持っていない。内装もこれまた安っぽい。
保存されていくというような部類の車ではありません。当然、価値が上がっていくというような車でもありません。
それでもこの145という車は、他にはない魅力があって、一言で言えば、ちょっと古いオンボログルマに乗っている、オンボロイタ車を走らせているという実感を味わえる車です。
高級な車、良い車という次元とはまた別の次元の車です。高級車に乗りたい、いい車に乗りたいという人には全く合いません。
高級車、良い車は、車自体の出来が良いので、車が勝手にやってくれます、勝手に走ってくれます。車とドライバとの間に何となく距離感が生まれがちです。最近の車はどんどんその傾向が強くなっていて、その分、ドライバは茅の外になり、運転は、どんどんつまらなくなっていきます。
145という車は、高級車、よくできた車にはない、それらの車からは感じ取ることができない何かを発する、ドライバに伝える、そういう車です。車本来の魅力がまだなんとか残っている時代の車と言えるかもしれません。
145。よくそ帰ってきてくれた。