心に刻まれた車。その第一弾は、ビルの谷間を風と共に通り抜けていったブリティッシュオープンMGFでした。
今回、第二弾は、ちょっと古いアルファロメオの高級車、164です。
この164という車に対して、これまで私はそれほど興味を持っていませんでした。
カーブラフィックTVでも、メモワール放送でこの164を見たことがあります。
ちょうど164がデビューしたときのイタリアの街の様子が映っていたかな?
当時の街やそこを走っているいろんな車に目がいったように思います。
また、京都のホリイトレーディングというアルファでは有名なショップがあります。
自分が145に乗るようになってから、このショップのブログをよくチェックするようになりましたが、そこにもときどき164が登場します。
このショップ。最近、創業者の方が亡くなられました。引き継がれたのはその方の弟さんみたいで、ブログも引き継がれていますが、お兄さんの文章はおちゃめ、弟さんの文章はまじめ。性格の違いでしょうか。
亡くなられた先代は、この164のV6のことをいつも高く評価していました。アルファのV6はシングルカムの方がいい、というようなことを言っていたと思います。良い、良いと言われると気になるので、V6自体は好みではないけれども、一回はシングルカムのV6を運転してみたいなあとは思ったりはしました。でも、だからと言って164がそのショップに入庫した時に、特に興味を持って見に行こうとか、購入を考えようとかは思いませんでした。
この164は、映像や写真で見る限り、ちょっと大柄なセダンというイメージしかなく、別段、欲しいとも思いませんでした。よく写真とかで見るのは、上が赤色で下が黒なのかガンメタなのか、そんな色合いのツートンカラーが多いのですが、そのツートンカラーにも、なぜか興味を持つことはありませんでした。
まあ、そういうこともあって、よく目にはしていたけれども、特別な感情を持つということはありませんでした。これまでは。
ところが、先日、実物を見て印象が全く変わりました。
良く晴れた冬の日曜日。寒さもほんのちょっとだけましで、花粉もまだ少ない。今年の冬はいつもよりも寒い日が多くてビートをほとんど走らせていない。今のうち、ということで、ビートをフルオープンにして、よく行く峠越えのコースに向かいました。そのコースは昔からよく走っていたところで、昔は交通量も少なかったのですが、最近では、休日ともなると、かなりの交通量があります。ファミリーカーだけではなく、ケータハムのようなそれっぽい車好きの方が乗るような車もちょいちょい見かけます。そういう道になったんですかねー。道自体は昔と全く同じなんですが。。。
峠に向かうその道は、途中から民家がまばらになり、回りの風景は山の木々に代わります。交通量はそれなりにあるので、対向車は普通にやってきます。
そこに突然、向こうから164が現れました。峠に向かう山道ですから見通しはあまり良くなく、ひゅっと現れました。フロントフェイスを見てすぐにそれが164とわかりましたが、自分の頭にあるイメージとは違います。
そう、アルファレッドを身にまとう164ではなく、漆黒の164、ネロだったからです。
瞬間的に、カッコいい、と思いました。
山あいに突如現れた164ネロは、あっという間にすれ違って後方に去って行きます。去りゆく瞬間、そのリアビューを今度はバックミラー越しに確認しますが、これまたカッコいい。黒一色の中に浮かび上がる横一列のテールランプ。うーん、いい。コントラスト好きには、たまりません。
山野を走る姿が何ともカッコいいですね、164のネロって。絵になります。
この車。比較的大きい車なのに走っている姿はその大きさを感じさせないシャープさがあります。まるで、くさびのよう。カクカクッとした大きい164ネロがひゅっっと走ると、回りの空気が次々と切り裂かれていく、そんな感じがします。
164のネロは、山の空気を上下に切り裂きながら山の麓へと向かい、私とビートは、切り裂かれた空気の中を峠へと向かいました。
現在、164は、もう一般の中古車市場にはほとんど流通していないようです。オーナーズクラブがあることも今回初めて知りました。今後は、アルファ好き、164好きの人達の間で引き継がれ、クラシックカーとして残っていくのでしょう。でも、ピカピカに磨き上げられて静止画のように車庫に保管されるのではなく、空気を切り裂きながら山を、そして街を走り続けて欲しい。切り裂かれた空気は、きっと対向車によって修復されるでしょうから。