いつも車を止めている駐車場は有人で、そこには面白い兄ちゃんがいます。この兄ちゃんのことは以前「不思議な兄ちゃんと、赤のアルファロメオ159」に書きました。
この兄ちゃんは、若いのにすごく丁寧で、応対も柔らかく、でも、動きは素早い。すごく背が高くて細く、脚がめちゃめちゃ長い。車が駐車場に入ってくると、タタタっと跳ねるように走って近づいて、ぱぱぱっと的確に指示を出してお客さんの車を案内します。
帰りに駐車場に戻ってくると、それを見た兄ちゃんは、いつも、たったの20mぐらいの私との間の距離をダッシュで近寄ってきて私から駐車券を受け取ります。
とてもいい青年です。
この前の朝、いつものように駐車場に入っていくと、兄ちゃんの髪の毛が短くなっていたので「さては、散髪したなあ」と思い、車を止めるときに、「髪、短なったなあ」と言いました。
すると兄ちゃんは、「はい。でも、みそぎじゃ、ありませんよ。みそぎじゃ。」と返してきます。
みそぎ、って。。。相変わらず、おちゃめな兄ちゃんです。
その挨拶の時、ふと兄ちゃんの腕に付いている時計が目に留まりました。
「しぶい時計してんなあ。」
どこの時計か、なんという時計か、わかりませんでしたが、渋い、まあ言えば地味、そんな時計をしていましたので、それが逆に気になりました。今時の時計にこんな渋い時計があるのかなあと思ったりしましたが、そのときは特に聞くことなく駐車場を後にしました。
その日の帰り。
やっぱり兄ちゃんの腕に目が行きます。渋すぎる時計。
「なかなか渋い時計してんなあ?」
と兄ちゃんに言うと、兄ちゃんは、
「セイコーのマチックRという時計です。」
と、サラッと答えます。
「何いー。マチックRやとおおお!」
まさか、こんな若い兄ちゃんの口からマチックRという言葉が出てくるとは思ってもいなかったので、びっくりして言うと、
「家にあったので、ちょっと使ってみました。」とのこと。
「マチックPというのもあるで。」と私が言うか言わないかの間に兄ちゃんは、
「Pもありますよねえ。」と普通に返事する。。。
この兄ちゃんとはいつも「そろそろビートの季節ですかね」「いやいやもうちょっとやな。10月後半かな。」という会話を9月あたりからずっとしています。
車といい、時計といい、この兄ちゃんは古ーいものが、お好きなようです。