機械式の時計を手に入れると、私は、それを耳に当ててチチチチという機械の音を聞きます。
機械式時計の魅力はいろいろあると思いますが、私にとってこの音が一つの大きな魅力になっています。
特に、古い時計は、防水性が弱いためか、音が良く聞こえますから、好きです。
夜、枕元に時計をおいて、寝る前や、夜中に目が覚めたときなどに、時計を耳に当てて音をよく聞いています。これがなかなか癒やし効果があって、いいです。
5振動は、チッカ、チッカ、チッカ、チッカと、一つ一つ丁寧に。
6振動は、チカチカチカチカと、ちょっと早歩きで。
8振動は、テケテケテケテケ、テケテケテケテケと、忙しく。
10振動は、テロテロテロテロテロテロテロテロと、4気筒エンジンのアイドリングのように。
それぞれ特徴がありますが、私は、やっぱり5振動の音が一番好きです。音が大きくしっかりしていて、時を一つ一つ刻んでいってる、そんな感じなので。それと、カチーン、カチーンと、金属同士があたる感じがとても心地いい。
そんな機械式ですが、最近、6振動のロードマチックと、8振動のレオパールがちょっと具合悪くなって、二つ一緒にOHに出しました。両方とも、私の手元に来てからは初めてのオーバーホールです。どんな感じでしたかと職人さんに聞くと、その職人さん曰く、両方とも「油ぎれ」と一言。
手元に戻ってきて、早速リューズを回して動かします。私は古い時計の場合は、時計を耳元に近づけてリューズを回すようにしています。リューズを回す右手の感触と合わせて、耳でもリューズが回っている音を確かめながら、リューズを回すようにしています。
機械が再び動き始めたことを確認して、早速、耳に当てて音を聞いてみます。
すると、OH前に聞いていた音とは違います。音がとても軽くなっています。特にロードマチックは以前はもっとカンカンカンカンという金属的な音がしていたのですが、それが弱くなって軽ーい音になっています。ロードマチックの音ってこんなに軽いものだとは知りませんでした。
それから、音が早くなったように感じます。6振動なら6振動、8振動なら8振動なので、間隔自体は一定で変わるわけがなく、早くなるわけがないのですが、早く感じる、聞こえる。これにはちょっとビックリしました。
これまで、結構、機械が無理をしてがんばっていたんですね。がんばって、がんばって時を刻んでいたけれども、それがとうとう、もうだめ、というようになって初めてOHに出してもらえた。時計からすれば、そんな感じだったのでしょう。
OHから帰ってきたロードマチックとレオパールの音を聞いていると、機械が自然に、楽に、楽しく時を刻んでいるような、そんな気がします。