みなさんは、時計を手に入れるとき、どういうことを思っているでしょうか?
いやいや、そんなもん、その時計が欲しいと思ったからに決まっているやないか-。
そうだと思います。
私の場合もそうなのですが、ちょっと違う感情も実は持っています。それは、その時計を実際に見てみたい、実際に手で触れてみたい、実際に腕に着けてみたい、この目で、この手で、それを確かめてみたい、そういう気持ちです。どういうものなのかを実際に確認することに対する欲求、確認欲とでもいいましょうか、そういうものが、所有欲の他にあります。
文字で情報を得る。写真で見る。あれば動画で見る。そういうパソコンやスマホの画面を通して確認することで、わかることと、わからないことがある。そう、思っています。
確認できないこと、それは、リアル感。
実物を直接見ることで初めて伝わってくる情報があります。
実物を直接手で触れることで、肌で触れることで、初めて得られる情報があります。
仮想空間では決して得られない情報というものがあって、人間はそれを五感で感じ取る能力を持っている。そう強く思っています。
人の目は、物の質感や奥行きというものを見抜く力を持っている。
手には、その物の本質を掴みとる力がある。
例えば、木の板。
無垢の板と、突き板。どちらも表面は天然の木です。でも、内側、中身は別物。見た目はどちらも同じようには見える。でも、人の目はその違いを見抜くことができます。そして、人の手の平や足の裏は、その違いを見抜いてしまいます。それぐらい、人の視覚、触覚というものは、その物のリアルなところを感じ取って、その物の本質を見通す力を持っています。だから、パソコンやスマホの画面の向こう側の物をいくら見ていても、人が本来持っている視覚や触覚の力は活かされない、いや、活かされにくい、と思っています。
私は、このリアル感、リアルな体験を大事にしたい、自分が持つ感覚、それを大事にしたいと、いつも思っています。人がどう言ったか、どう思ったかではなく、自分がどう思ったか、どう感じたのか、それを基準にしたい。自分の感覚が優れているとか優れていないとか、そういうことではなくて、自分の五感で実際に感じたこと、そこからの情報というものを大切にする、そういうことです。
勿論、ネット上の情報も得ますし、人が発信する情報も参考にします。すごいなあと思うこともたくさんあります。写真があったらそれも見ます。全てを実際に体験できるわけでもありませんし。それでも、実際の空気感というような抽象的なものも含めて、そういうものが大事だと思っています。
物の場合、特に、身に着けたり、手で掴んだりするものは、実物を実際に触れたりして判断したい。
例えば文房具は特にそう思います。文房具は、どういう機能があるかという機能面も大事ですが、手に触れたときの感触、掴んだときの感触を重視する人が多いと思います。
例えば、質感。文房具に使われている樹脂などは、デザインやカラーは良くても、質感が低いと、手で触れる、掴むだけで直ぐに、その瞬間に質感がばれてしまいます。勿論、その前に、目で実際に見ることで質感を既にある程度評価しているところがあって、その視覚から得た感覚を実際に手で触れたりして確かめるという感じではないでしょうか。
身に着けるもの、手に触れるもの、そういう物は実際に身に着けたり、手で触ってみたり、文房具であればそれで実際に書いてみたり消してみたりしないと、大事なところはわからない。写真ではわからないし、動画でもわからない。やはりリアルな感覚がとても大事だと思っています。
時計についても、これと全く同じことが言えます。
いくらネット上で写真を拡大して見ても、実際に手に入れてみないと、なかなかわからないことが多い。手に入れてみて実際に自分の目で見てみると、写真で見ていたのとはかなり違うということが多い。
だから、気になった時計に関しては、できるだけ実際に手に入れてみて、自分の目、自分の手でそれを確かめてみるようにしています。当然、高い物は無理ですが。
実物を実際に見てみると、写真で見ていたのとは全然雰囲気が違っていることがあります。予想以上に良いという場合もありますし、その逆もあります。良くも悪くも予想が完全に裏切られたということもあります。サイズ感もなかなか写真ではわかりにくくて、迫力があるサイズと思っていたら、えー、これ、レディース用じゃないの?というようなこともあります。
実物に触れてみると、これまた見ているのとは違っていろんな気付きがあります。やはり触覚も情報量が多い。
そして、腕に実際に着けてみると、これまた感じ、イメージが違ったりします。やっぱり、最終的には、時計は腕にしてなんぼ。腕に着けてみないと、その時計の本当のところはわかりません。他人の腕ではなく、自分の腕に着けてみないと。
もっと言えば、部屋の中だけじゃなくて、外ではどういう表情になるのか。室内のライトではなく、太陽の下でどのような表情を見せるのかとか。
それから、意外とこの時計は音が大きいなあ、とか。
手に入れて、実際に使ってみると、いろんな場面でいろんな気付き、発見があります。
だから、なかなかやめられない。
時計を手に入れるということ。それは、その時計が持つリアルなパワーを自分の五感で感じ、そして、思い描いていたその時計に対するイメージとの違いを検証すること、かなと。
ただ、この確認欲。実際に手に入れて確認したらそれで満足、ということも多いのが、ちょっと難点です。